HETE-2 打ち上げ成功!
2000年10月9日(月)
HETE-2衛星は、2000年10月9日5:38:18 GMT (日本時間午後2時38分18秒)にマーシャ ル諸島クウェジェリン環礁南方沖で L-1011飛行機から打ち上げられ、ほぼ予定通 りの軌道に投入されました。ロケットからの衛星の分離は5:50 GMT に順調に 完了しました。投入直後の推定軌道は、近地点590km, 遠地点650km, 傾斜角 1.95度です。3周回目には衛星の首振り回転を止めて太陽電池パネルを展開 し、第4周には反太陽方向への姿勢をとることができました。クウェジェリン とシンガポールの主地上局でのデータ受信とコマンド送信にも成功しました。 指向性の高いアンテナを使用しているカイエンヌ地上局も軌道要素の精度が向 上すれば交信を開始できる見通しです。これから衛星のさまざまな機能とバース ト警報中継ネットワークの試験を行った後、11月半ば以降に観測を開始する計画で す。 最新の情報は 現況ページ をご覧下さい。
HETE (高エネルギートランジェント天体探査機)はガンマ
線バーストを検出してその位置を決めるために作られた小型科学衛星です。
ガンマ線バーストの座標は検出後数秒以内に地上観測者に伝えられます。
HETE によって、ガンマ線バーストの発生直後の詳しい観測が初めて可能に
なるのです。
HETEプロジェクトは、米国マサチューセッツ工科大学宇宙研究センター、理化学研究所宇宙放射線研究室、米国ロスアラモス
国立研究所、仏国宇宙線研究センターなどによる国際共同研究として進められ
ています。
現在のところHETEの打ち上げは、ペガサスロケットによって2000年5月中旬に
予定されています。
目次:
現況
目的
研究班
歴史
衛星
観測機器
地上局
速報
画像
問と答
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HETEの研究目標HETEミッションの主要な目的は、ガンマ線バースト(GRB)の多波長観 測するとともに、即座に追観測ができるようにガンマ線バーストの高 精度な座標を天文観測コミュニティーに迅速に通報することです。 この目的のためにHETE衛星は二つの X線検出器と一つのガンマ線検出器を搭載しており、0.5 キロ電子ボ ルト(keV)から400キロ電子ボルトのエネルギー範囲の光子を観測します。 二つのX線検出器は符号化マスク撮像装置となっており、ガンマ線バー ストの位置を通常10分角(満月の直径の3分の1)、条件がよければ10秒 角の精度で決めることができます。 衛星搭載コンピューターの高度なソフトウェアによってバースト位置 はリアルタイムに機上で計算されますが、引き続いて 地上で行なわれる事後解析でさらにバースト位置の精度を高めます。 ガンマ線バースト観測以外にも、HETEはX線による広域監視を行ない ます。かに星雲の100分の1以下の強度のX線源を一日の観測で検出で きるほか、中性子星連星やブラックホールを起源とするX線天体のフ レア(強度増加)を検出することができます。 |
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HETE 衛星HETE衛星には次のような観測装置が搭載されています。
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HETEの観測運用と現在の状況HETEは太陽電池パネルへの日照を最大にするために、軌道上では常に 反太陽方向に向けられています。そのためHETEの観測装置は黄道上の 一点を中心とする約2ステラジアンの領域を監視することになります。 一年の間には太陽が天球上を移動するのにつれて監視領域も黄道に沿っ て移動し、全天の60%を探査します。HETEは常に反太陽方向を向いているので、地上の観測者にも常にHETEが 監視しているおおよその方向がわかっています。しかもHETEが検出す るガンマ線バーストは太陽から少なくとも120度離れており、地上か らの光学観測には最適です。 HETEの観測装置は視野が地球に遮られない衛星軌道上の夜または薄明 薄暮に観測を行ないます。 |
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HETEのバースト速報HETEはガンマ線バーストを検出すると、そのバーストに関する 観測結果の要約を赤道上に配置した受信専用局に向けて送信します。その情報 はMITに集約されてから、ガンマ線バースト連絡網(GCN: GRB Coordinates Network)によって全世界に配信されます。GCN加入者はHETEのバースト座標を バースト発生から数秒以内に受け取るのです! |
最終更新: Sun Jan 30 17:36:25 JST 2000
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