HETE-2 ミッションの目的
HETE-2の第一の目的は宇宙ガンマ線バーストの起源と性質を明らかにすることです。
このことを達成するために、軟X線(低エネルギーX線)、中間エネルギーX線、
およびガンマ線にわたる広いエネルギー範囲で観測を行ない、ガンマ線バースト源
の正確な位置を決定して同定します。
HETE-2に搭載されている観測装置は次の三つです。
この三つの観測装置の連携観測によって:
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ガンマ線バーストの発生を検出します。
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ガンマ線バーストの正確な位置を決定します。WXMが中間エネルギーX線を用い
て年間約50個のガンマ線バーストの位置を10分角以上の精度で(すなわち真の
位置からの距離が10分角以内に)決めます。SXCは軟X線によって年間約10個の
ガンマ線バーストの位置を10秒角よりよい精度で決定します。この位置は衛星
機上でバースト発生から10秒〜100秒の間に算出されます。計算時間の違いは
バーストの継続時間と波形に依存します(ガンマ線バーストの継続時間は百分
の1秒から千秒までさまざまです)。
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ガンマ線バースト位置の座標をほぼリアルタイムで主地上局と副地上局のネッ
トワークを経由して MITの管制センターに伝達します。
この情報は即座にGCN(ガンマ線バースト連携網)に渡され、そこからガンマ線
バーストの対応天体や残光を追い求めている光学、赤外、および電波天文観測
者たちに配信されます。
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三つの観測装置が相互にバースト発生を知らせ合えるユニークなHETE-2の機能
を生かし、軟X線、中間X線およびガンマ線バンドでのガンマ線バーストの発生
頻度と強度の相対比を明らかにします。
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0.5〜400キロ電子ボルトの範囲でガンマ線バーストの分光観測(エネルギース
ペクトルの観測)を行ないます。そして、X線プリカーサー(前触れ)、
X線残光、および狭い輝線・吸収線スペクトル構造、サイクロトロン線を探し
ます。
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HETE-2 が断続的に捉える軟ガンマ線バースター (Soft Gamma-ray Repeater; SGR)
の強度、時間変化、そして放射スペクトルを測定します。
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HETE-2 が断続的に捉える X線バーストやこれに関連するバースト現象の強度、
時間変化、そして放射スペクトルを測定します。
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ブラックホールからの突発的なX線の強度、時間変動、そして放射スペクトルを
測定します。