— 新種のパルサー発見に、日本の総力を結集 ー

補足資料

研究チーム(全員)

谷津 陽一・東京工業大学・助教
高橋 洋輔・早稲田大学・修士1年
片岡 淳・早稲田大学・准教授
河合 誠之・東京工業大学・教授
Albert Kong・国立清華大(台湾)・教授
高田 順平・香港大学(香港)・研究員
ほか光・赤外線天文学大学間連携チーム



中性子星(パルサー)とは

太陽の10倍を超える重い星がその一生を終えるとき、超新星爆発という巨大爆発とともに中性子だけでできた小さな「核(コア)」を残す場合があります。この密度は1立方センチメートルあたり10億トンにも達し、実際に目に見えるものとしてはこの世でもっとも密度の高い物体です。我々の身の回りにある物質も陽子と中性子でできていますが、このうち中性子が発見されたのはほんの最近で、今から80年前の1932年のことです。驚くべき事に、その2年後にはバーデとツビッキらが星が燃え尽きた後に中性子星が作られるかもしれないという予測を発表しています。

これら中性子星は多くの場合強い磁気を帯びて高速で自転しています。回転する磁気圏は自転周期に同期した電波パルスを放射することからパルサー(Pulsating Star → Pulsar) と呼ばれています。実際、世界で初めて発見された中性子星は自身の発する規則的な電波パルスによって発見されました。


図1— (左) 1968年に世界で初めて中性子星(パルサー)を発見したジョスリン・ベル博士(発見当時大学院生/カナダMcGill大学にて)。 (右) おそらくもっとも有名な 「かに」パルサーX線写真(おうし座のカニ星雲に対応)。1054年の超新星爆発で作られたと考えられ、現在 0.033秒周期で自転している(Credit: X-ray:NASA/CXC/ASU/J.Hester et al.)。

ガンマ線とは

 ガンマ線は非常にエネルギーの高い電磁波の一種です。電磁波はその名の通り直交する電場と磁場が空間中を伝わっていく波であり、我々の目に見えている可視光もこの電磁波の一種です。

 普通、我々がものを見るときに、その光一粒一粒の「エネルギー」を気にすることはありませんが、実は「色」が光(電磁波)のエネルギーに対応しています(明るさではありません。明るさは光の粒の数に対応しています)。可視光はエネルギーが低いほど赤く見えます。さらにエネルギーが低くなると(赤の外側だから) 「赤外線」、もっとエネルギーの低い電磁波が「電波」です。逆にエネルギーの高い可視光は青・紫色に見えます。さらにエネルギーが高くなると(紫の外側だから)「紫外線」、さらにエネルギーが高いものを「X線(レントゲン線)」と呼びます。フェルミが観測しているガンマ線はこのX線よりさらにエネルギーの高い電磁波です。

図2. 電磁波の波長と名称。

星空

図3. 9月の星空と2FGL2339.6-0532の位置(Stellarium v0.11.0で作成)