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開発風景3 計画3年目 「ソフトウェア開発(デバッグ)」(2018年3月〜)

3月のシッピングが完了したので、本来であれば作業完了となるべきなのですが、人間が作ったものであり制御ソフトには数々のバグが。大学に残したエンジニアリングモデルでデバッグはできるものの、フライトモデルの書き換えはJAXA・筑波宇宙センターでの作業になります。開発の最後はこのつくば出張を軸に進みます。

(注:JAXAの実験施設内では撮影装置の持ち込みが禁止されています。ここに掲載したものは、JAXAの作業記録カメラで撮影したものであり、許可を得て公開しています。)

2018年4月16日〜17日 DLASソフトウェア書き換え@JAXA/筑波宇宙センター

大変だったFMのシッピングからはや一ヶ月。衛星の最終組み上げ前の最後の動作確認チャンスです。組み上げられてしまうと、衛星との通信を仲介するマイクロ・コンピュータは基本的に書き換えができなくなってしまうため、このタイミングで実装した全機能を確認する必要があります。

衛星組み込み前で直接触れるのはこれが最後のチャンス。 なんか暗そうなのは作業がうまく行っていないから(お葬式モード)。結局、初日は失敗に終わった模様。
気を取り直して翌日。普段、「考える前に即実行」を標榜しているものの、たまには考えることもあります。昨日の試験で出てきたエラーメッセージと状況証拠をかき集めて作戦会議 不具合原因に対する仮説をいくつか立てて順に検証していきます!⇒ 一つ目でヒット!慎重に検証を行って大学へ帰投(結局23時を過ぎました)

このデバッグ作業、装置を正式にJAXAに引き渡した後であり、作業が長引けばJAXAの職員(主に革新チームの平澤さん)が付合わされるわけです。さらに終電に間に合わなかった哀れな学生を駅まで車でおくって下さったりと、本当にお世話になりました。

2018年6月15日 最終DLASソフトウェア書き換え (その1)@JAXA/筑波宇宙センター

ゴールデン・ウィークを経て、衛星の最終組み上げが完了。本体は既に衛星に組み込まれており、システム側の作業の合間にソフトウェアの修正作業を行います。

衛星を壊したら大変なので、プラグ一個つなぐのも緊張します。 写真には写っていませんが、このテーブルの向かいにRAPIS-1があり、デバッグ用のハーネスを一本つないで作業を行います。

2018年8月4日〜9日 Small Satellite Conference@ユタ州立大学

世界の超小型衛星関係者があつまるSmall Satellite Conference@2018。東工大からはM2の佐々木くんと小泉くんが登壇しました。10年前は参加者300人程度だったのが、昨年2017年は2500人、2018年はなんと3000人とのことで、毎年30%ずつ増えているという状態。日本国内のしみったれた宇宙開発とは勢いが違います。

自室で発表練習を行う小泉くん(これが国際学会デビューらしい)。運が良いと大学宿舎に泊まれますが、ベッドが高いので転げ落ちると怪我します。 SSCのいいところは全てのOral TalkがPlenary Sessionなところ。DLASはSSCの中で見てもかなり攻めた実験なので質疑応答が盛り上がったようです。(身振り手振りに慣れない日本人にはヘッドセットは話しづらい)

2018年8月4日 最終DLASソフトウェア書き換え その2(お盆) @JAXA/筑波宇宙センター

季節はお盆。夏休み真っ最中で佐々木くんと小泉くんがユタで遊んでる(国際会議に参加してる)間にも開発は続きます。

筑波宇宙センターでの作業にも慣れてしまい、記録写真しか残っていない模様。 理想的な指差し呼称の例(起動中の電力チェック?)。

2018年10月3日 STT地上動作試験@東京工業大学本館屋上

衛星とのコマンド・インターフェースはうまく行ったものの、肝心のSTTの精度に影響する実装ミスを発見。実機を屋上に持ち出して動作を確認。

かつて、GRB観測用の30cm望遠鏡が設置されていた東工大本館屋上ドーム。電源が取れるの都合が良い。 STTに傍から光を当てても測位できます。得意げなざわちん。

2018年10月11日 最終DLASソフトウェア書き換え その3(ラストラン) @JAXA/筑波宇宙センター

「最終」と謳いながら既に3回目のソフトウェア書き換えも、今度は本当にこれが最後(この後メンテナンスパネルを閉じてしまい、フライトまで二度と開けないから)。最後の踏ん張りです。

それでもギリギリまでデバッグするざわちん。 そしてJAXAに到着。
これが最後なので、ソフトウェア改修後、全コマンドの動作確認を通しでやります。防塵服はJAXAに借りてますが、手袋と帽子とマスクは自分でもってこいと言われて毎度持参しております(意外と貧乏くさい組織です) つくば出身なのに2回目以降JAXAに行きたがらない渡辺くん。朝コンビニでコーヒーを飲んだだけで優雅と言い放った件。茨城にもコンビニくらいあるのだよ。(初回が相当辛かったと想像される)

番外編

面白いけど、分類に困る写真など。

3分前までここでミーティングしてたわけだが、いきなり研究室で料理開始。(太田くんが居た頃はここで唐揚げパーティーやらかして、1階のエレベーターホールでもわかるレベルだったのでかなり抑えてる感じ) 食があるということは寝る機能もありますよね。
ECAMの撮影テストはなぜかみんな変顔するチームしきたりが存在。 ECAMの動作実証実験用大型液晶ディスプレイ。これで映画見たら凄そう。

松永研M2新谷くんデザインのチームTシャツ完成。開発道心得は卒業生たちがTSUBAME衛星の開発の過程で得た真理の言葉である。通称ラボ畜Tシャツ(略して 畜T)。JAXAの記者発表でも着用しました。

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