Before 2009
太古のディスクから奇跡的に2004年の設計コンテストの写真が発掘されました。他に写真持ってる方はご一報ください。後ろに小さく写ってるのはなんとあの船木くん(ファンキー)ですね。
2004年の設計コンテストの頃は、Cute-1.7もまだ開発中の段階で、当時東工大助教であった片岡さんの厳しい指導の下で、回路開発、阪大RCNPやKEKでのビーム試験を行い、国産APD(浜松ホトニクス社製リバースタイプ)の世界初の宇宙実証へ向けて着々と研究を進めていました。
2006~2008年は宇宙用MAPMTの開発とプロトタイプ読み出し回路の開発を行い、TSUBAME実験としては初めてのKEKでのビーム照射試験を実施しています。
2009年 プロトタイプ開発フェーズ
2006年から始まった要素技術開発の集大成として偏光計プロトタイプのKEKビーム実験を実施。
研究室に入った時から仕事の早かった榎本くんの設計 | 寝落ちした榎本くんとQL用のツールをせっせと開発する中森師匠 |
ノイズ落としに精を出す戸泉くん | 討ち死にした中森師匠とそれを気遣う榎本くん |
外来ノイズの干渉による信号劣化とFPGAの不具合に悩まされる辛い実験でした。それでも、榎本くんの頑張りにより、TSUBAME偏光計では初めてとなるモジュレーションカーブの作成に成功しました(榎本卒論 2010)。この実験で生まれた名言:
- 「エア鍋」 KEK実験恒例の前夜祭で、注文した鍋の具材がなかなか出てこない状態
- 「COM事件」 安定化電源のCOMとGNDを繋ぎ忘れ、基板の電圧が不定になった恐ろしい事件
2010年 部品選定・ブレッドボードモデル開発フェーズ
2010年は正月早々から部品選定のための放射線照射実験が目白押しでした。これが地味でかなり辛い作業であり、評価の度に新しい素子を購入して、その試験用基板を設計・製造し、ビームラインに持ち込んで測定するという作業を数ヶ月のサイクルで行いました。
1月:電源素子のTID試験。ほんとよく働く榎本くん | 口の悪い西田くんと森下くんもいますね。出世頭木佐くん、石坂くん、薄井くん。隠れてるのは戸泉くん? |
5・6月:アナログ素子のTID試験。常世田・川上コンビ加入。 | 丁寧な指導に定評のある榎本くんと、まだ頼りなかった頃のヨーダ |
7月:アナログ素子のプロトン照射試験@放医研 | 日を置かずに偏光計の放射化評価試験(移動実験連発はつらい) |
11月:SRAM/FRAM/MRAMのプロトン照射試験@放医研 (試験の前日の晩にMRAMをぶっ壊されたのは良い思い出) | 更にFPGAの耐性評価。試験基板の回路・パターン・ロジック設計は川上くん。電源まわりも全てGPIB制御にしてくれました。 |
学部時代からつばめの要素技術開発を行ってきた戸泉くんも、放医研実験でついにドクターストップ(D論に専念)。かわりにヨーダ・川上くんが参入して、開発予算もついて急ピッチで物事が進みはじめました。特に、2010年はかなりキツイ実験の連続でしたが、スーパーエース榎本くんと、B4二人の3人で取得したデータを元に、ついに本番用の回路設計を始めることができます。
2011年 エンジニアリングモデル開発フェーズ
つらい冬の時代であった電子部品の放射線耐性試験・部品選定も一段落して、いよいよ衛星搭載品の設計・開発・評価がスタート。いまや不動のエース榎本と、つらい放射線実験を闘い抜いて急成長したヨーダ・川上、そして新たに加わった林さんの4人体勢により、驚くべき速さで開発が進みました。
1月: EM偏光計に宇宙線を模擬したプロトンを照射した状態でのガンマ線スペクトル取得実験@放医研 | 背後では工学部が実験。毒舌の森下くんと、鳥居マニアの神宮くん、西原くん(ちなみにこの日ヨーダは寝坊のため欠席) |
3月:第一回EM機械噛み合わせ。穴位置に不備があるようです。 | ケーブルも出てますが中身はありません。温度計がついているだけ(この4日後に震災があり、予定していた熱真空試験も延期に) |
5月: 林さんの衝撃デビュー実験は高圧印加回路の真空放電試験。華々しく光ってますねぇ(ブリーダーの設計やり直し決定)。 | 6月: EM熱真空試験のため再組み上げ |
10・11月: EMコンポ単体振動試験@産技研。パネル展開機構を封印する指揮官の牟田さん | 偏光計は最初のZ軸加振で基板脱落。そのあと、X軸ランダムでPMT粉砕。完膚なきまでにやられました。 |
12月: 年末は恒例のビーム実験@KEK つくばの冬は厳しく、体感温度はマイナス40℃以下。唯一の楽しみはプライムの唐揚げ定食 | トラ技の付録マイコン基板を使って一晩で完成させた力作「偏光計自動回転台座」。コマンド一発で回転する様はまさに革命的。 |
今回も大変ではありましたが、安定したデータ取得 | この実験結果がエース榎本くんの修論になります |
照射待ち時間中、あやしいアプリで楽しむヨーダ | 照射待ち時間中、マンガを読み耽る川上くん |
かなり順調だったとはいえ、連日の実験で討ち死に | エース榎本くんも撃沈 |
2011年に開発を行ったEM偏光計は、ロケットの打ち上げ・衝撃に耐えられないという機械的課題が残ってしまったものの、読み出し回路には新規に開発したVATA462を搭載することで、2009年の実験の時よりも格段に高い精度でデータを取得することができました。まだ、この時点ではセンサ素子が46/92素子しか載っていないパーシャルモデルではあったものの、かなり手応えのある成果を得ることが出来ました。これらの結果は、惜しまれつつ卒業した榎本修論(2012)に詳しくまとめられています。
写真を整理している内に、収集がつかなくなってきました。2012年以降の闘いの記録は 開発風景パート2へ