2014年 フライトモデル最終組み上げ〜フライトオペレーション

死闘・CDH編

実はこのタイミングまで誰も気づいていませんでしたが、これまでの統合試験では、常にどこかのサブコンポーネントに不具合があり、衛星分離からパネル展開・太陽指向制御、、、という自動実行シーケンスを完全な形でリハーサルしたことが一度も無かったのです。いつも、シーケンスの途中でトラブルが発生し、しかもそれらはCDH以外のサブシステムに原因があったため、全体を統括しているCDH(コマンド&データハンドリング)系のプログラムは機能試験のやりようが無く、CDHを担当していた工学部の喜多村君は孤独にソースを書いて孤独に動作を確認するしかなかったのです。そして、サブシステムがなんとか動き始めた今はじめて、TSUBAMEチームはラスボス級のバグの存在に気づいた訳です。しかも、この時に不運にもCDHを担当してきた喜多村君が卒業(空気読んで博士に進んでれば、今頃英雄として余生を過ごせたと思われます)。入ったばかりの松永研 B4 太田くん・古賀くんにこの超重圧がのしかかります。

5月: コンポ単体では動くようになったが、システム連動試験でたまにフリーズするという怖い症状に遭遇。問題を指摘した人間が責任を取らされるのは世の常ですが、身を捩って連帯責任に持ち込みました。 物理学科のリフレッシュルームで、理工合同のCDHプログラムのゲリラ読み合わせ会を開始(ほぼ3日おき)。左から工学部の鈴木くん、太田くん、宮里くん、古賀くん、そしてうちの栗田くん。ここで、奇才栗田が活躍。色んな意味で貫禄が出てきました(腹に注目)。
6月: 調子に乗ってバスの方に顔を突っ込んでいたらセンサ系がお留守になっておりました。 容赦無いガンマ線観測システムの最終単体試験「ToDoリスト」。これで約2週間分。裏ではCDHが必死でデバッグをやっています。
タイムリミットがあるので、ここからはマネジメントの勝負。困ったらとりあえずヨーダと伊藤くんとSkype(就職してからも世話掛けます)。 最終組み上げ前最後の電気統合試験。失敗は許されません。大内くん、と栗田くん(松永研の新人にかつての痩せていた頃の姿を知る者はもう居ないのです)
低温ゲイン測定中に大岡山停電。落雷の10分前に奇跡的にHVを落としていたため助かりました。考えられる全てのトラブルに遭遇している気がします(でも壊れてはないので運は良い) 8月: 較正完了後、衛星の最終組み上げ。この間、姿勢系河尻くんによるスタートラッカーとの激闘を始め、CDHも電源も通信も全系鬼気迫る勢いで寝ずの作業。(これでこそ超小型衛星ですね。)

最後の1週間

こうなってくると後は気合の世界です(寝姿も丸みを帯びてきました)。 シッピング予定日5日前。野宿慣れした大内くんにとっては、むしろ心地よい環境か。
最後の決戦の舞台は宇宙研の片隅にあるプレハブ小屋。外は35℃。 TSUBAMEに直接触れられるのも後数日。
不眠不休で最終調整を続けるTSUBAMEチーム(左から鈴木・太田・俵・河尻)。最後の仕上げはCMGによる高速姿勢制御の動作チェックです(正直、これは間に合わないと思っていました)。 そして、懐かしい面々が差し入れを持ってやってきました。(OB新宅くん、石坂くん、神宮くん、うれしそうな松永先生、太田くん、河尻くん、長洲くん、まっつん。個人的にはチヨビタ以外の普通の飲み物が欲しかったなと思いました。喜多村くん、ヨーダ、伊藤くんも来てくれたそうですが、先に言ってくれないと。。。)
シッピングまであと2日。それ以降はこのアンテナ越しでしか衛星と対話することは出来ません。


旅立ちの日

ついに別れの朝。輸送コンテナに載せられたTSUBAME 名残惜しそうに写真を撮る古賀くん
TSUBAMEの姿もこれで見納め しっかり封印
箱なで あるべきものがないと寂しくなります
ついに、搬出開始 調整用の周辺装置と一緒に出荷されます
衛星がついに地面から離れました。 別れの瞬間


打ち上げはもうすぐです!!

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